佐藤国男 Sato,Kunio

Posted on 2019-09-10 by nakajima

先日、絵本の世界などで活躍されている私の大好きな版画家、佐藤国男さん(函館在住)と電話でお話をしました。
話題はかなり昔に遡るのですが(1990年頃だったと思う)7月7日七夕の夜、仙台で幻灯会のイベントをやった時の事で、それにまつわる話からでした。

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中嶋:「もしもし…佐藤国男さんですか?」

佐藤:「はい、そうです。」

中嶋:「私、中嶋と申します。
かなり昔の話ですが…かつて仙台で佐藤国男さんの版画〝銀河鉄道の夜〟をスライドで投影した幻灯会のイベントがありまして、私はそのときのスタッフだったんですが…」

佐藤:「はいはい、あ〜そうですかぁ〜…良く覚えています…懐かしいですねぇ〜。」

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中嶋:「はい、広瀬川の岸辺にそびえ立つ巨大な崖があちこちにあるんで、それをスクリーンにして画像を見せよう…、
川を挟んで向いの河原の観客席から発電機を使ってプロジェクターで投影するっていう…なんか無謀ですよね、

話をしていたらとんでもない方向に話が盛り上がりましてね…、
でもおもしろいからやるべ!!…ってなことで、場所探しから始まりテストを繰り返したんです。」

佐藤:「河岸段丘のスクリーンにふさわしい所を選んだわけですね。

当時NHK仙台支局の黒岩さんが東京への転勤が決まっていて、仙台を離れる前に一発なにかやりたい…っていうことで始まったと思うんですが…」

中嶋:「はい、黒岩さんが宮沢賢治のオリジナルをもとに作りあげた脚本〝銀河鉄道の夜〟と、佐藤国男さんの版画のコラボを幻灯で上映したいという企画がそもそもの始まりでした…
仲間を募ることから幻灯会イベントが動きだしたんですね。

話を聞いた時は、がんぺき〜〜?って、びっくりしましたけど…
銀河鉄道やるなら銀河のまつり・七夕の日だろう、仙台の思い出になる場所なら天の川ならぬ広瀬川だな…スクリーンは広瀬川の崖だな…って言う事だったような…」

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佐藤:「黒岩さんは仙台勤務の前は函館に3年いたんですよ。それ以来の知り合いで、脚本はナレーションもセリフも入って…力作でしたね。」

中嶋:「そうですね。ほとんどの皆さんは仕事を持ってて、休日や夜遅く仕事を終えてからの練習でして…
ナレーションとジョバンニやカンパネルラの役は女性の皆さん(老若の混合♬)、
当時、既におじさんの域だった私も、男子学生さんと一緒に〝鳥穫りのおじさん〟など何役か掛け持ちで声優やりました。(笑)

音楽もオリジナルで、仙台在住の若いミュージシャンがシンセサイザーで作ってくれまして、幻想的な雰囲気でとてもイイカンジでした…。
当日会場の灯籠も手作りでみんなで制作したんですが、足下を照らす柔らかな光はファンタジックないい演出でした。」

佐藤:「当時は私も本業は大工でしたしね。その後も10年程は大工をやって、ましたから…」

中嶋:「そうだったんですか…

…幻灯イベントは新聞で紹介された事もあって、当日は予想以上に子供から大人まで、たくさんの方が会場ににいらっしゃいまして…大好評でしたよ…楽しい記憶です。
…みんな若かったんですねぇ…あんな大変な事をやっちまう若い時の行動力はスゴいもんだと、今改めて思います

私も、版画やりたいなって思いますが、でも、はっと気づけばこんな年になっちゃって…」

佐藤:「中嶋さん、アートに年は関係ないですよ。
70.80からやってメジャーになったアーティストもいますしね!

そうそう、私も仙台に行ったんですよ。スタッフのみなさんと飲み屋でワイワイお話しましたね。」

中嶋:「はいはい…、わでぃはるふぁ、っていう喫茶店ですね。そこのマスターの中田さんが仕掛人というか中心人物でして、店のお客さんがスタッフの全てでした。稽古場や灯籠作りの作業場はマスターの部屋でした。」

佐藤:「そうでしたか…」

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中嶋:「あのときの写真やシナリオは、部屋のどこかにしまってあって、なかなか出てこないんですが、佐藤国男さんの原画だけは私、今でも仕事場の本棚においてるんです。」

佐藤:「…と言いますと?」

中嶋:「佐藤さんを囲んだの飲み会が終わって、みんなが帰った後、くるくる巻いてあった包みを私、発見しまして…
開けてみたら、佐藤さんの版画だったんですよ。

誰のものか、後日みんなに聞いてもさっぱりわからず、とりあえず私が持ってるように…ってマスターにいわれましてね。
持ち主が解れば連絡が来るだろうと思ってたんですが、黒岩さんはその後東京に転勤なさって、まぁ、そんなワケで私が保管してたんですが…

私、佐藤さんの版画の本・銀河鉄道の夜を持ってはいるんですが、好きな時にその原画を眺めていられたというのはラッキーでした…
…で、今になって先日、佐藤さんのホームページを探しあて、そこにあった電話番号から、その経緯を連絡させていただいたわけですが…こんなに時間が経ってしまって恐縮です…」

佐藤:「ははは!そうでしたか…でも、…それ誰の忘れ物だったのかなぁ?」

中嶋:「佐藤さんもわからないんですか…う〜〜ん…。
じゃ…、あのぉ……ところで…この際…実は、私…「あったかギャラリー」っていう(これこれこういう趣旨の)サイトを友人とやってるんですが、そこでその版画を…チラッと紹介させていただくのは…どうでしょう?」

佐藤:「いいですね〜いいですよ、どうぞ、どうぞ!!自由にがんがん使ってください!!」

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中嶋:「あざ〜〜っす!! 私は特に最後のシーン、カンパネルラがジョバンニとの旅を回想する悲しげな表情が何とも好きでして…

…ああ、リンドウの花が咲いてる…もうすっかり秋だねぇ…このシーンの版画も忘れられない個人的な思い入れがあって、大好きです。」

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佐藤:「うれしいですねぇ〜〜!
……ところでね中嶋さん、宮城県といえば…蔵王町の下別当遺跡ってありますよね。
私は最近、縄文の魅力に取り付かれて縄文文化の研究やってるんですよ…」

(話は途中から、縄文文化、アイヌ文化や北方鉄文化の伝播の話になってしまいました。
また、版画の技術的な事、版木の事などいろんなお話をお伺いできて楽しいひと時でした。

…そんなわけで、今回のあったかギャラリーは、佐藤さんによる原画をご覧いただきました。

佐藤国男さん、ありがとうございました!)

版画家・佐藤国男氏のサイト「山猫工房」
http://www.yamanekokoubou.com/index.html

佐藤国男氏の縄文説話公開中!
http://www.yamanekokoubou.com/jomon/index.html

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補足(後日、佐藤国男氏から届いた画像です。)

補足(後日、佐藤国男氏から届いた画像です。)

 

補足(後日、佐藤国男氏から届いた画像です。)

補足(後日、佐藤国男氏から届いた画像です。)


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