及川信一 Oikawa,Nobuichi

Posted on 2018-05-22 by nakajima

会社経営のかたわら東北の自然や3.11(東日本大震災)をテーマに写真を撮り続けた及川信一さん。
写真集が今年2018年1月に刊行されました。

及川信一写真集「記憶された時間」です。
(企画・発行は福本卓雄氏、監修は以前当ギャラリーでも紹介させていただいた写真家・清家正信氏)
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巻末の寄稿文に、彼と写真の関わりを象徴するような及川さん自身の言葉が引用してありました。

「被写体ハンターに捉われてしまうのではなくて、、その場所が好きになることが大事と思う、、
エネルギーをもらえるし、何より自然に触れさせてもらうことに感謝、これらの写真は自然の方から撮らせていただいたと思っている」

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私、中嶋が及川さんを知ったのは2013年の春でした。
田舎の風景をバックに走るSLの写真を見たのがきっかけだったように記憶しています。
その風景というかニオイがどうしても子供の頃遊び回った私の生家の周辺と重なったものでした。
あとで尋ねたら、まさにそのあたりだと知り、奇妙な縁を感じたものです。

その後、どうやら及川さんは私の母校(高校)の先輩にあたるらしく、ご自身の経営する会社も私の仕事場からそう遠くない事もわかり、たびたび昼メシをいっしょに食べたりしたものですが、むじゃきなオヤジだなとお互いに思っていたことでしょう。
酒が好きだった彼は酔いにまかせ、私の仕事場に乱入してくる事もしばしばでした。

ところが、その年の暮れに及川さん「中嶋ぁ〜、最近おれ、食べ物が飲み込みずらいと思ってね…検査してもらったら癌だったんだよな。」
翌年1月に仙台市の大学病院で手術…しかし6月に再発。

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「最近私は『先様のご都合』と呼ぶことにしました。

ある日病気(先様)が私の戸口を叩き、上がり込んできたとしたら、私にできる事は戸を閉めてお帰りいただくことではなく(それができたらと思うこともありますが)、先様を招き入れ、ゆっくりお茶でも飲みながら、どうやってこれから一緒にやっていくかを考えるしかないと言うことです。

心の中に私の都合や願いはいくらでもあるのですが、それを言っても始まらない、取りのけてくださいと祈っても叶わない、どこまでも先様の都合に合わせて歩むほかありません」(2016.06)

それからは体調の許す限り、残された時間を慈しむように、心に残る場所に趣き撮り続けられた。

FBに発表された2014年の「写心」の数々は集中力とパッションに満ちていて、私たちを魅了し続けた。最後のFBの投稿(2014年12月7日)は
「昼は短い、、」だった。

及川信一写真集「記憶された時間」巻末寄稿文(福本卓雄氏)より

及川さんは、2015年1月にこの世を去りましたが、コミュニティサイト「Flickr」に、3.11(2011年)の大震災直後に被災地を訪れた彼による記録がたくさん保存されています。(あったかギャラリーでの紹介を何度も考えたのですが、震災の生々しさに何度もたじろいでしまいまして…。)

https://www.flickr.com/photos/34058715@N05/albums/with/72157625091499049

 

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最後になりますが、及川さんの写真集に関する情報を掲載させてください。

及川信一写真集「記憶された時間」

頒布価格/ 3,300円(送料込み)
注文先/ 〒742-1511 山口県熊毛郡田布施町下田布施1934-2 福本自然農園 及川信一顕彰会
Mail adress/ fkmt512@gmail.com
FB adress/ 福本 卓雄(メッセージ欄にて)
https://www.facebook.com/profile.php?id=100004340281902

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