アンリ・マティスの彫塑

Posted on 2019-01-22 by nakajima

ずっと昔の事になりますが、学生時代ニューヨーク近代美術館(MOMA モマ)を訪れた事があります。
なにも下調べせず、おのぼりさんよろしくウロウロ…広い美術館の中をうろつき回る私の目に止まったのは、小さな裸婦像でした。

それは、膨大な美術作品群の中でもひときわ小さなブロンズの像で、両手で包めるかなと思える程のサイズだったかと思います。
わたしはしばらくの間それに見入ってました。

子供が粘土をこねくりまわして作ったようにも見える大胆なフォルム、すばらしいデッサン力とデフォルメというか、優れた作家の手によって生まれる生命がみなぎってるように思え圧倒されました。

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Small Nude in an Armchair(The Met より) © 2019 Succession H. Matisse / Artists Rights Society (ARS), New York

そして、これがあの アンリ・マティス(Henri Matisse)の作品だとわかり、私はとても驚いた記憶があります。
画家として有名なマティスの画集はたくさん出てるんですが、彫刻(彫塑)もまたマチスを語るに重要な分野だと初めて知ったわけです。

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Madeleine II(The Met より) © 2019 Succession H. Matisse / Artists Rights Society (ARS), New York

40年以上経った今ふと思い出し、記憶をもとにニューヨーク近代美術館のサイトを調べてみましたところ、数々の画像とは別に「The sculpture of Matisse」と題された書籍をPDF化したものを発見しました。

「The sculpture of Matisse」
https://www.moma.org/documents/moma_catalogue_1902_300190549.pdf

2019-01-22 13.59.29

「The sculpture of Matisse」より

すばらしい作品がたくさん掲載されていますね。

 

マティスはフォーヴィスム(野獣派)の旗手として有名ですが、本人は、フォーヴィスムと呼ばれることをひどく嫌ったようです。
『私は人々を癒す肘掛け椅子のような絵を描きたい』(マティスの言葉)

彫塑は気落ちを整理し自分のスタイルを見つけるため、自分の考えを明確にするため…と本人が語ってるように、彫塑はとても重要な創作活動であり、1900年ごろに最初のブロンズ像をつくって以来、マティスはずっと絵画と彫刻を製作し続けたようです。

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Reclining Nude, II(The Met より) © 2019 Succession H. Matisse / Artists Rights Society (ARS), New York

 

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Woman Leaning on Her Hands(The Met より) Henri Matisse (French, Le Cateau-Cambrésis 1869–1954 Nice) © 2019 Succession H. Matisse / Artists Rights Society (ARS), New York

ニューヨーク近代美術館(Museum of Modern Art〈MOMA モマ〉)
https://www.moma.org/

(MOMAオンライン公開のマティス作品)
https://www.moma.org/artists/3832?locale=ja&page=1&direction=

Nasturtiums with the Painting "Dance" I(The Met より) © 2019 Succession H. Matisse / Artists Rights Society (ARS), New York

Nasturtiums with the Painting “Dance” I(The Met より)
© 2019 Succession H. Matisse / Artists Rights Society (ARS), New York

 

 


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