ただ、こどもたちのために

Posted on 2018-08-22 by nakajima

絵本作家のかこさとしさんは、自らの死期が迫っている事を自覚しながらも今年の5月、92歳で亡くなるまでどうして創作をやめなかったのか。
作品を通して伝えたかった事は何だったのか。

数ヶ月前に見たテレビ番組「ただ、こどもたちのために かこさとし 最後の記録(プロフェッショナル 仕事の流儀)」が印象的でした。

番組をご覧になった方も多いかと思いますが、友人の絵本作家・関口シュン氏もこの番組について触れていますので、ぜひ紹介させてください。

絵本作家として、とくに科学の絵本作家として尊敬しているかこさんですが、少し年齢上のやなせたかしさん(1919~2013)のことが重なって、この世代の方たちにとって、あの太平洋戦争が色濃く闇となって、そして大きな動機となっていることを痛感していました。

やなせさんは自身が出征し戦闘はしなかったものの戦争の悲惨さを体験し、弟さんを特攻隊で亡くした思いがあり、戦後日本の大人社会が手のひらを返したように自分たちがしてきたことへの反省も始末もなかったことへのショックと絶望感は、かこさんも同じだったようです。

その大人社会への反骨と、未来を創る子供たちへの希望などが相まって、子供向けの素晴らしい作品を作り出してきた、その大きな契機になり得たと思う。

かこさんも晩年は腎臓病を患い、大変な苦痛と闘いながら創作を続け、やなせさんも晩年、癌と糖尿病治療でサイボーグのような身体になりながらも創作し続けていた。

そして両師に共通して言えることは、「子どもはごまかせない、侮れない。子どもだましは効かない。子ども相手だからこそ、真剣に本気で取り組まないとならん」ということだ。

僕は子どものための科学絵本を作る予定があるので、かこさんを見上げながら、世界にたいして想像の翼を子どもたちがより広げられるようにがんばろう!と胸に落としたのでした。

シュンさんにとって、かこさんは「科学書の大先輩、大恩人であり、自然の不思議に切り込む視点と発想のすばらしさ…これからも見上げながら、学んでいきたい。」…そんな存在なんですね。
(上記の文章は6月に綴った氏のface bookより抜粋させていただきました。
ちなみに、私の敬愛する漫画家・永島慎二氏を漫画家たらしめた動機も、かこ氏と共通したものがあるようです。そして、その永島慎二氏最後の愛弟子が関口シュンさんです。)

 

かこさとしさんについて興味のある方は、以下のサイトをご覧下いただければと思います。

プロフィール | かこさとし 公式webサイト
http://kakosatoshi.jp/profile/

NHKオンデマンド | プロフェッショナル 仕事の流儀 「ただ、こどもたちのために かこさとし 最後の記録」
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2018089257SA000/index.html?capid=nol_4_P284

 

 

 

 

 

 


当ウェブサイトで提供している画像・文章等の著作権は、著作権者に帰属します。 著作物は、著作権法により、無断で転用、複製等の行為を無断ですることは禁じられています。