東 逸子 Azuma,Itsuko

Posted on 2020-03-24 by nakajima

私の手元に「パルステラ」という画集があります。
東逸子さんという画家の作品集で、1987年に出版されたものですが、
ファンタジックな、若い女性アーティストならではの世界…。
しばし、なつかしさと異空間に迷い込んだような感覚にとらわれました。

…かつて「詩とメルヘン」という月刊誌があったことを知る方も多いかと思います。
1973年に創刊され2003年の休刊まで、やなせたかしさんが編集長を務めていたのですが、若いアーティストの発掘に貢献した文芸誌でもあります。

画集「パルステラ」には1980年代の「詩とメルヘン」に掲載された東さんのイラストが数多く掲載されています。

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1980年あたりのミュージックシーンでは、オフコースの人気が高まったり、イエロー・マジック・オーケストラが活躍していた時期…「詩とメルヘン」に近いコンセプトで他社から発行された冊子もかなりあったように記憶しています。
当時私の友人も某出版社でその種の編集に携わっており、私自身もサラリーマン稼業の傍ら、ほんの一時だけですがイラストの手伝いをしたものでした。

個人的に私は以前よりやなせさんの描くファンタジックなイラスト世界や詩のファンでしたが、メルヘンチックな世界がもてはやされるのとは逆に、私の関心はだんだんそこから離れていったように記憶しています。(サラリーマン稼業に忙しかったせいもありました…汗)

…そんな時代もあったな、少女趣味なメルヘン世界にうんざりした時期もあったな…と思い返しながら東逸子さんの画集「パルステラ(サンリオ発行)」を改めて見てみるのですが…

その構成力と想像力、支持された理由は、女性ならではの感性とアカデミックな修練に裏打ちされた素晴らしいデッサン力があってこそだと感じています。

 

彼女によって描かれた表情を今改めて見ると私は、ダ・ヴィンチの素描「聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ」の中のマリアを連想したり、また、時空を超え静止しているかのようにも見える眼差しに、これもまたダ・ヴィンチの素描「ほつれ髪の女」に通じるものがあるのではと…まぁ、勝手に思ってしまうのです。

当時、多くの女性ファンが東さんの絵に憧れたのではと思われますが、おそらく東さんの目指すものは、ファンの憧れのもっと遥か先、天才達が見た世界にあるのかもしれませんね。

アーティストっていうのはある意味で冒険家だ…と、私などには思えてしまいます。
逞しい、正確なコンパスを携えた冒険家だなぁ…と東さんの絵を見て感じます。
アーティストとしての正確なコンパスを携えた東さんの絵には、イメージする世界にどんどん進んで行く強いエネルギーが満ちているように、私には思えるのです。

AZUMA 1

東さんは現在も多くのファンを持ち、絵画のみならず創作人形の世界も追求しています。

著作権上制限があり今回の紹介作品はこれだけでしたが、こちらのサイトは更に理解の助けになるかと思います。どうぞご覧ください。
https://tis-home.com/itsuko-azuma/

 

 

 

 

 


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